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療養担当規則

経済上の利益の提供による誘引の禁止 (問1)

(問1) 「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」の改正により、
・保険医療機関は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならない。
・保険薬局は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならない。
とされたが、趣旨如何。
(答)一部の保険医療機関等において、集合住宅等に入居する患者の紹介を受け、患者紹介料を支払った上で、訪問診療等を行っている事例があった。これらの事例については、
・特定の保険医療機関等への患者誘導につながる蓋然性が高く、患者が保険医療機関等を自由に選択できる環境を損なうおそれがあること
・患者を経済上の取引の対象としており、保険医療機関等による過剰な診療等につながり、保険診療そのものや保険財源の効果的・効率的な活用に対する国民の信頼を損なうおそれがあること等の問題がある。
保険医療機関等は患者が自由に選択できるものである必要があり、また、健康保険事業の健全な運営を確保する必要があること等から、今回の改正において、保険医療機関又は保険薬局が、事業者又はその従業者に対して、患者を紹介する対価として、患者紹介料等の経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険医療機関又は保険薬局において診療又は調剤を受けるように誘引することを禁止したものである。

疑義解釈資料の送付について(その8)平成26年7月10日事務連絡

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療養担当規則

経済上の利益の提供による誘引の禁止 (問2)

(問2) 「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」の改正により、患者紹介料の支払いが禁止されたが、禁止行為に該当するかどうかについて、どのような基準で判断されるのか。
(答)今回の改正により、基本的には、
① 保険医療機関又は保険薬局が、事業者又はその従業員に対して、患者紹介の対価として、経済上の利益の提供を行うこと
② ①により、患者が自己の保険医療機関又は保険薬局において診療又は調剤を受けるように誘引すること
のいずれにも該当する場合は、禁止行為に該当すると判断される。
①については、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されているか否かで判断されるものである。
患者紹介とは、保険医療機関等と患者を引き合わせることであり、保険医療機関等に患者の情報を伝え、患者への接触の機会を与えること、患者に保険医療機関等の情報を伝え、患者の申出に応じて、保険医療機関等と患者を引き合わせること等も含まれる。患者紹介の対象には、集合住宅・施設の入居者だけでなく、戸建住宅の居住者もなり得るものである。
経済上の利益とは、金銭、物品、便益、労務、饗応等を指すものであり、商品又は労務を通常の価格よりも安く購入できる利益も含まれる。経済上の利益の提供を受ける者としては、患者紹介を行う仲介業者又はその従業者、患者が入居する集合住宅・施設の事業者又はその従業者等が考えられる。
禁止行為に該当すると判断されることを避ける意図をもって、外形的には、経済上の利益の提供を患者紹介の対価として明示しないことも予想される。例えば、訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、訪問診療の際の車の運転業務等の委託料に上乗せされている場合、診察室等の貸借料に上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていると判断される場合は、①に該当するものとして取り扱うものである。
このため、保険医療機関等が支払っている委託料・貸借料について、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域における通常の委託料・貸借料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
また、患者紹介を受けており、保険医療機関等が支払っている委託料・貸借料について、診療報酬の一定割合と設定されている場合は、実質的に、患者紹介の対価として支払われているものと考えられる。同様に委託料・貸借料について、患者数に応じて設定されている場合は、業務委託・貸借の費用と患者数が関係しており、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。集合住宅・施設に入る保険医療機関等を決定・制限することができる者が、保険医療機関等に対して診療又は調剤に必ずしも必要ではない業務委託・貸借を条件として求めている場合は、患者紹介の対価として委託料・貸借料が支払われている蓋然性が高いと考えられる。
②については、①により、患者が自己の保険医療機関又は保険薬局において診療又は調剤を受けるように誘引しているか否かで判断されるが、保険医療機関又は保険薬局が、患者紹介を受けて、当該患者の診療又は調剤を行っている場合は、基本的には、②に該当するものと考えられる。なお、これについては、訪問診療の同意書、診療時間、診療場所、診療人数等も参考にするものである。

疑義解釈資料の送付について(その8)平成26年7月10日事務連絡

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療養担当規則

経済上の利益の提供による誘引の禁止 (問3)

(問3) 集合住宅の入居要件として、併設された診療所の月2回以上の訪問診療を受けることを入居者に求め、保険医療機関が入居者に一律に訪問診療を行うことは、健康保険法上、認められるのか。
(答)集合住宅の入居要件として、特定の保険医療機関の訪問診療を受けることを入居者に求め、保険医療機関が入居者に一律に訪問診療を行うことについては、訪問診療は通院が困難な患者に対してその状態に応じて行うものであること、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」において「居宅における療養上の管理及び看護は、療養上適切であると認められる場合に行う」とされていること、保険医療機関は患者が自由に選択できるものである必要があること等から、あってはならないものである。

疑義解釈資料の送付について(その8)平成26年7月10日事務連絡

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経済上の利益の提供による誘引の禁止 (問4)

(問4) 集合住宅の関連会社が、入居者に訪問薬剤管理指導を行う保険薬局を実質的に決定している。保険薬局が、当該関連会社から、一部負担金の患者からの徴収業務、コンサルタント業務、広告掲載業務等を委託することが求められ、委託料を支払っている場合は、患者紹介料の支払いの禁止に該当するのか。
(答)集合住宅に入る保険薬局を決定することができる者が、保険薬局に対して調剤に必ずしも必要ではない業務委託を条件として求めている場合は、患者紹介の対価として委託料が支払われている蓋然性が高く、基本的には、患者紹介料の支払いの禁止に該当するものと考えられる。

疑義解釈資料の送付について(その8)平成26年7月10日事務連絡

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療養担当規則

経済上の利益の提供による誘引の禁止 (問5)

(問5) 集合住宅に併設された診療所が、集合住宅から、診察室等を貸借し、貸借料を診療報酬の一定割合と設定して支払っている場合は、患者紹介料の支払いの禁止に該当するのか。
(答)診察室等の貸借料に患者紹介の対価が上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていないかどうかを確認する必要があり、診療所が支払っている貸借料について、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域における通常の貸借料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
また、診療所が支払っている貸借料について、診療報酬の一定割合と設定されている場合は、実質的に、患者紹介の対価として支払われているものと考えられる。

疑義解釈資料の送付について(その8)平成26年7月10日事務連絡

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療養担当規則

経済上の利益の提供による誘引の禁止 (問6)

(問6) 施設から仲介業者に、歯科訪問診療を行う保険医療機関の紹介が依頼され、仲介業者が紹介した保険医療機関が入居者に歯科訪問診療を行っている。保険医療機関が、仲介業者に、歯科訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、歯科訪問診療の際の車の運転業務等を委託しており、委託料を患者数に応じて設定して支払っている場合は、患者紹介料の支払いの禁止に該当するのか。
(答)歯科訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、歯科訪問診療の際の車の運転業務等の委託料に患者紹介の対価が上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていないかどうかを確認する必要があり、保険医療機関が支払っている委託料について、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域における通常の委託料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
また、保険医療機関が支払っている委託料について、患者数に応じて設定されている場合は、業務委託の費用と患者数が関係しており、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。

疑義解釈資料の送付について(その9)平成26年9月5日事務連絡